A Sleeping Damon ~Ro Novel 特別編~

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「おわった……」

 太陽剣を拾い、その場でクラークは呟いた。

「まじめに……今回はもうだめだと思ったぜ」

 いつにもなく焦った表情でヴァッツが言う。それに対し、クラークの方は無言で頷いた。

「さてと……帰るぞ」

 ブルージェムストーンを地面に放り投げ、呪文の詠唱を始める。だが

「まてよー」

「ん?……っておい!」

 気がつくと、ヴァッツの首がクラークの肩に乗せられていた。

「動きすぎて眠いんだよ……」

「あのなぁ、帰って寝ればいいだろうが」

「少し……だけ……」

 そういうヴァッツは、すでに寝息を立てていた。

「まったく……」

 苦笑いしながら、クラークはその場に腰を下ろした。

「まぁ……少しくらい休憩するならいいだろう――」

 誰にともなく呟き、クラークは目を伏した。

 その表情には、どことなく安堵のような笑みが映っていた……

 

 

 

 一方、その様子を水鏡から覗いていたエルシェは、感嘆の声を漏らしていた。

「さすが……ですね」

 今回、クラークの体の状態に気づいていたエルシェはこの任務を与えるべきか否かで迷った。

 もしも、クラークが弱音を吐いたならば他のメンバーに与えるつもりだったのだ。

「ですが……要らぬ心配だったようですね」

 そう言いながら、ニコリと微笑を浮かべる。

「あの二人なら……」

 泣いているような、笑っているようなエルシェは不思議な表情になる。

 そして、もう一度水鏡を見やる。そこにあるのは、血で染まったディスタンスのメンバーとは思えないほど穏やかな風景。それは、自分の欲しかったものでもあった。

 一度微笑んでから、水鏡を閉じる。

「これ以上は……覗き見になってしまいますね」

 多少顔を赤らめてから、エルシェはその部屋を後にした。

 

その後、戻ってきたクラーク達は太陽剣を差し出したが、エルシェはそれを受け取らずヴァッツに差し出した。

「いいのですか?」

「えぇ、ヴァッツ貴方にはこれからもクラークと共にあり、彼の手助けをしていってください。そのために必要となる力に、それを役立ててください」

「はい」

 ニコリと微笑みながら言うエルシェに、ヴァッツはコクリと頷いた。

 

 

 

オマケ

 

ヴァッツ「クラーク……」

クラーク「なんだ」

ヴァッツ「こう……俺のメインだったはずなのに、お前の方がメインになってないか?」

クラーク「……」

ヴァッツ「おかしいだろ!もともと、俺の産みの親の誕生日祝いなんだぜ!?」

クラーク「……ヴァッツ」

ヴァッツ「ん?」

クラーク「著者に言え……そういうことは……」

ヴァッツ「ぉ!それもそうだな!」

クラーク(……なんかキャラが違わないか?今のコイツ)

ヴァッツ「ぉいこら!著者!でてこい!」

クラーク(あきらかにおかしいな……というより、普段なら必ず言う眠いの発言がない)

ヴァッツ「くっそー!」

クラーク「いったい何が起こっているというんだ?」

ヴァッツ「あのよぉ……」

クラーク「ん?」

ヴァッツ「眠すぎて腹が立ってんだよ!機嫌がわりぃんだよ!」

クラーク(……結局ソレか)

ヴァッツ「だー!もう、著者でてこねぇのかよ!」

クラーク「……ヴァッツ」

ヴァッツ「ぁ?」

クラーク「さっさと終わらして寝たほうが早いんじゃないか?」

ヴァッツ「ぁ……」

クラーク「(コイツ、本当に気づいてなかったな……)とりあえず、さっさとこのオマケを締めて終わらせよう」

ヴァッツ「おう!」

クラーク「ってことで……」

クラーク&ヴァッツ『Happy Birthday Akito!!』

 

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